緑の水辺
薬用植物紹介

コブシ
Magnolia kobus

樹高が約20mまで達するモクレン科の落葉性の高木で、国内で各地に自生している。葉は互生し、長さは15cm程度になり、倒卵形をしている。早春頃、葉の出る前に白色の6弁の花を咲かせる。果実はコブのある不整な長楕円形で、長さ5〜10cmで湾曲し、秋には開裂して中から赤色の仮種皮がつく種子を白い糸で垂れ下げている。
花の咲く直前の蕾の部分を取り乾燥させたものを生薬名「辛夷」と呼び、毛筆に似た形で蕾部分の長さは2.0cm程度、表面には褐色の軟毛が密生し、特異の芳香がある。同属植物にタムシバ(Magnolia salicifolia),ハクモクレン(Magnolia denudata)があり、これらの蕾も同様に「辛夷」の基原植物であり、前者は市場に数多く出回っている。

<辛夷>
採取時期:開花直前の2月から3月頃、蕾を採取して日干しにする。
成分:精油成分としてシトラール、オイゲノールなどの他、微量のアルカロイドやマグノクラリンなどを含む。
薬理作用:鎮静・鎮痛薬として用い、3〜6gを煎じたものは副鼻腔炎、慢性鼻炎による頭痛・鼻づまりに用いることができる。多量に服用すると頭がふらつき、目の充血などの症状が生じる。

(奈良県薬事指導所提供)




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