緑の水辺
薬用植物紹介


シオン
Aster tataricus Linne fil.

キク科(Compositae)。
中国北部、シベリア、朝鮮原産の多年生草本。
高さ1.5〜2m。茎は直立し、上部で分枝する。
根生葉は大形でへら状の楕円形、茎葉は長楕円形で先は尖り、鋸歯があって互生する。
9〜10月、枝先に径2.5〜3cmの頭状花を多数付ける。
舌状花は淡紫色、管状花は黄色。根は細い主根から多数の細根を出す。
これを乾燥したものを紫苑と称し、漢方及び民間で鎮咳・去痰・利尿薬として用いられる。

 日本に伝わった時期は明確ではないが、古い時代に薬草として入り、花が美しいので、その後、観賞用としても栽培が盛んになった。
「源氏物語」に記載があることから、平安時代にはすでに栽培されていたと思われる。
広島、大分、宮崎、熊本など一部に自生のものがあるが、これは栽培種が野生化したもの。

 紫苑の「苑」とは草木が繁る意味で、紫苑は紫色の花が群がって咲くことを意味する。
紫苑の読み「シオン」は中国音「ジワン」が訛ったものといわれる。

 採取時期:10〜11月

 調製法:細根をほぐすようにして土を洗い落とし、日干しにする。

 成分:アステラサポニン、シオノン、エピフリーデリノールなどを含む。

 用法・用量:1日3〜10gを水300ミリリットルで1/3量に煎じ、3回に分けて服用。

 性味:性は辛、味は苦

 帰経:肺経

 漢方処方例:紫苑散、射干麻黄湯

 その他:紫苑は局外生規に収載されており、
       別名として「紫苑」を用いてもよいとされている

(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)




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