緑の水辺
薬用植物紹介


エンゴサク
Corydalis turtschaninovii Bess. forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C.Hsu

 ケシ科(Papaveraceae)。
中国各地の山林に分布、または淅江省で栽培される軟弱な多年生草本。高さ10〜20cm。
塊茎は偏球状。
4月頃、スミレに似た赤紫色の唇形花を横向きに付ける。
エンゴサクの塊茎を乾燥したものを「延胡索(エンゴサク)」と称し、鎮痛、鎮痙、鎮静薬として腹痛、生理痛に用いる。
この中国種は享保年間(1717〜1735)に初めて伝えられたとされる。
日本にはジロボウエンゴサク Corydalis decumbens(Thunb.)Pers.、ヤマエンゴサク Corydalis linearilo ba Sieb. et Zucc.、エゾエンゴサク Corydalis ambigua Cham. et Schlecht. 等の野生種があり、エゾエンゴサクが中国種に最も近い種とされる。
しかし、これら在来種は品質が劣ること、産出量が極めて少ないことから、国内の市場品は中国と朝鮮産が大部分を占めるのが現状である。

 採取時期:5〜6月

 調製法:茎葉が枯れた頃、塊茎を掘り取り、
       外側の薄皮を切り取って水洗し、沸騰した湯の中に入れて煮る。
       内部に白い芯がなくなり、黄色くなったら取り出し、日干しにする。

 成 分:アルカロイド
       (1-コリダリン、プロトピン、コプチシン、
      
 d‐テトラヒドロパルマチン等10種以上)を含む。

 用法・用量:延胡索2〜5gを一日量として、
         水200mlを加えて半量になるまで煎じ、
         一日3回に服用。ただし、妊婦には禁忌。

 性味:性は温、味は辛・苦

 帰経:肝・脾経

 漢方処方例:安中散、折衝飲、牛膝散

 その他:延胡索の基原植物は局方において、
      中国種である
       Corydalis turtschaninovil Bess. forma yanhusuo Y.H.Chou et C.C.Hsuに
      限定されている。

(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)




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