緑の水辺
薬用植物紹介


ハマボウフウ
Glehnia littoralis Fr. SCHM. ex MIQ.

 セリ科(Umbelliferae)
 海岸の砂地に自生する多年草で、葉は3出羽状複葉で、小葉はやや肉厚で硬質の楕円〜卵形、細かい鋸歯があり、砂に平伏するように展開し、茎もあまり高く伸びず、5〜10cmぐらいである。5〜6月頃、白い小花を複散形状につけ、花序には軟毛が密生する。

 中国産セリ科の防風と、根の効用、根に芳香がある点が似ていて、薬としては、防風の代用に用い、浜の砂地に自生するので「浜防風」と名付けられた。
 また、刺身のつま、正月のあしらいにと、日本料理に欠かせない高級野菜で、八百屋でも販売されるので「八百屋防風」ともいわれる。

 薬用部分は根及び根茎で、夏に採取し、水洗後、風通しのよい所で陰干しする。
 中国では「珊瑚菜」「浜防風」といい、その根、根茎を湯通しし、外皮を除いて乾燥したものを「北沙参」と呼び、鎮咳去痰薬として気管支炎などに用いる。

 漢方では、防風の代用として、発汗、解熱、鎮痛などの目的で処方に配合される。

 民間では風邪の発熱に就寝前、1回量5gをコップ1杯(200cc)の水で半量になるまで煎じて、滓を除いて熱いうちに飲むと発汗して熱を下げる。
 また、全草を細かく刻み、浴湯料として用いると、血行を良くし、肩凝り、神経痛、疲労回復などによい。
 正月の屠蘇散:防風、白朮、桔梗、山椒、桂皮、大黄など。
(写真、文ともに奈良県薬事指導所提供)




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