やっぱり夜ランニングするのは、恐い。
恐い話には、「究極の選択」をするように、逃げようのない状況を聞く人に与えます。
でもランニングしていると、恐い状況も色々バリエーションや解決がありました。
恐い話は、聞き伝の話なので、逃げ道が忘れ去られているため、余計に恐いと思うのでしょう。
究極の選択の恐い話は、案外恐い事の組み合わせが巧みです。
『ある人が山道を歩いていました。後ろからは、その人の歩調に合わせた足取りで、ヒタヒタと
足音がついて来ました。貴方は、走って逃げますか。それとも足音の主を立ち止まって確認しますか。』
こんなのを子供の時に聞かされると極めてゾーーー。
京都の貴船神社は、丑の刻参りで有名な神社です。
よく丑の刻に幽霊に会った話は、この丑の刻参りの人に出会ったのを幽霊に思ったのかも知れません。
丑の刻参りは、午前2時に行なうものです。女性の夜道は、極めて危険です。人に襲われない為の女性の智恵が丑の刻
参りの装束になった様に思います。
丑の刻参りの装束は、結った髪を解いて肩に流し、足音をさせないために裸足。月明かりでほのかに見える
白い着物。頭には、五徳をさかさまにして乗せれば角に見えます。すれ違った人は、きっと幽霊に思うでしょうね。
能楽に「金輪(かなわ)」という、貴船神社を背景にした丑の刻参りの話が有ったように記憶しています。
友人から『留守の間の家を預かって下さい。』の話があり、私は引越しました。引っ越した先でも、ランニングは
たまに行なっていました。住んでいた場所は、奈良市と京都市の県境に近い場所です。引っ越した先は、100戸程度の
住宅ですが、その回りは、ドリームランドや市営球場、陸上競技場で夜には殆ど人に出会わない場所です。
ランニングは、夜と土曜、日曜の昼間に行なっていました。走る場所は、道路の横に整備された歩道があり、結構
気持ちよく走れるものです。
たまに道路で跳ねられた小犬や猫が歩道に死んで横たわっていました。普通は、住宅街の中では、心有る人が奈良市清掃局に
連絡して、片づけて貰っています。でも市営球場、陸上競技場の付近では、2〜3日たってもそのまま残っています。
屍をさらす動物は、可哀相なので手を汚さないように足を持って付近の林に投げ入れてやる事もありました。
投げ入れる時は、腐った肉と、皮膚が離れるズルとした感覚が伝わって来ます。あまり良いもののでは、ありません。
動物の屍を処理しても、その場所で背筋の寒くなったり、鳥肌の立つことは一度も経験が有りません。かわいそうな犬は、
『天国へ行ったかなと』思いながらその場所を走ってゆきます。
ランニングコースには、1kmの間に家が三軒しかない場所が2ヶ所あります。一個所は、黒髪神社の場所と奈良坂の場所
です。夜中に黒髪神社の前を走るのは、苦手です。
神社の前を通るときは、神社から鬼が出てきて私の肩に乗ることを想像します。思っただけで鳥肌が立ちます。
運動不足の時は、ここを夜の10時頃に走りぬけます。外灯はありますが、決して気持ちの良いものではありません。
黒髪神社を過ぎると100mの竹薮があって住宅街にでます。ここまでがランニングコースの半分です。
背筋のゾクーとする神社の雰囲気は、20mも離れると気にもならなくなります。『ヤッパリ気の迷いだ。』と納得します。
住宅街を抜け、奈良坂町から京都市との境に向けて勾配のきつい坂になっています。道路は、京都への幹線道路で
す。この道路の左は、森で右側は閑静な木立の多い青山住宅です。たまに車が通りますが、人は
昼間でも見かけません。この森に差し掛かる場所は、以前小犬の死骸を森に投げ入れた場所でもあります。
いまは、夜の10時です。犬の死骸を片づけた場所に差し掛かると、やたらと背筋がゾクゾクします。ゾクゾク感は、
突然その日から始まりました。
ゾクゾクする範囲は、犬の死骸を片づけた場所から始まって200m先のゴルフ練習場横の十字路で
左に曲がるまで続きました。左に折れた側の道路も歩道のある整備された道路です。
その十字路から次の家が見えるまでは1kmの上りです。回りは、森で人通りは、一切ありませんがゾクゾク感は、消えて
います。
その頃は、アルコールの飲みすぎで、体重が増えていたので毎日夜に走っていました。
ゾクゾク感は、毎日続いたのです。5日間続いたので、昼間走って見ました。
黒髪神社は、何も感じずに過ぎました。例の場所は、昼間でも少しゾクゾクします。
問題の200mの中間にきました。
散乱したガラスの破片と車のスリップ後がありました。
先日まで無かった花と、ビールとジュースの供え物の横には、ミッキーマウスの人形が飾られていました。
それでも毎日夜の9時頃に私は、走っていました。このコースにした場合、ちょうど35分で回れるのです。
このコースが気に入っていたのです。でも毎日ゾクゾク感が有ります。
一週間後の日曜には、開けられたビールやジュースに花は、腐っていましたので片づけさせて頂きました。
でも毎月の15日には、花とお供えものが置かれています。2か月経った頃には、『ヤメテヨ!!お供えするのは。
何時までも、亡くなった人がここに止まるじゃないか』と思っていました。
ある8月上旬の日曜日にいつものコースを走っていると、青山住宅内での葬儀の案内板が立っていました。
誰か青山住宅で亡くなられた様です。
次の月曜の夜にも相変わらずランニングしていました。また例の場所です。????。今日は、感じない。
事故のあった場所の20m手前からゾクゾクを感じ、20mを過ぎると感じなくなっていました。
20mの範囲は、黒髪神社の場合と同じです。という事は、気の迷いでゾクゾク鳥肌がたったのです。
私の推測ですが、青山住宅での葬儀のときに、事故をした人も浮かばれたと推測します。
それ以来そこるを通過しても200mに渡ってゾクゾクする感じは、無くなりました。
私が、「離婚を決意」したのは、その8月末でした。各方面への相談や「相手のご家庭との話し合いも」済ませました。
協議離婚の書類を提出し、全てが完了した12月2日でした。カトリック宗教裁判所への申請書類も12月中頃には、作成し
神父さまへ提出しました。
この恐いランニングコースは、2ヶ月掛けて空缶拾いをしたコースです。毎週日曜日の空缶拾いでは、
45リットルのナイロン袋2つ分の空缶が集まりました。約6kのコースですが、毎回500m〜1km分を拾うだけで
2時間もかかりました。
事故後の空缶と花束を整理したのは、この作業のついでです。だから特にという気持ちは有りません。
私は、日本人的な宗教感からお世話になる道路は、奇麗にしたいと思って空缶を拾っていました。
私がランニングコースで事故に合わなかったのは、空缶拾いのおかげかと思っています。