発行所 株式会社 近代文芸社 装丁 五味恵子 ISBN4-7733-3629-3 C0095 本体価格 1748円(消費税を含まない価格) 初版発行 1994年12月5日
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″ものの時代”といわれる今日、最も欲求され、しかも最も値段の高いのはおそ らく"我が家″でしょう。 ヤングファミリーはマイホームの夢を見て、場所とか間取りとかを、いろいろ考 えているが、実際購入するまでには何年かかるでしょうか。 蛤にちゃんと殻があるように、人に、家庭に住まいがある。たとえ借家でも。 人は住まいに影響され、またその壁に、その部鼻に自分の匂いを移すというか、 自分の何かを及ぽす。年月が経つと、住まいと住む人の間にみょうな行き来が行わ れていく。それが一番はっきり解るのは本人ではなく訪れる人でしょう。″ああ ・・・彼らしい家だなぁ" と。 住居は住んでいる人間を語る。またその人間の意識に大きな場を占める。それは 文化だ。 畳生活を三十余年味わった僕は、たまに石造りの住まいを思い出す。 懐かしい。じゆうたん、窓、階段、地下室、屋根裏部屋、暖炉・・・それら一つ一 つを取っていっても話題は尽きないというか、日本の洋風の家を訪れても思い浮か ばないイメージの世界がある。 フランスの食生活の文化的な意味合いについて、すでにエッセイを近代文奉社に 出していただきましたが、住まいをテーマにする本書もおおむね似ている書き方で まとめています。どうか味わってください。 なお、ワープロ作成に惜しみなく協力してくださった目黒淳子にこのページを借 りてお礼を申し上げます。 <ヨハネ・ベル>
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